ミスしないための消費税講座
免税事業者や、事業をしていない方から商品を仕入れた場合
免税事業者や、事業をしていない方から商品を仕入れた場合、仕入税額控除ができるのでしょうか。答えは、できます。実務上、売り手が消費税の納税義務者かどうか容易に判断できないからです。
外注費と賃金の境界線は?
給与・賃金・賞与は事業者との取引ではないため課税仕入にはなりません。一方で、請負による報酬は外注費として課税仕入となります。基準は、雇用契約によるのかどうかによって判断します。外注費とするために、請負契約書等の書類を作成することをお勧めいたします。
自社の従業員の車両を賃借した場合
自社の従業員の車両を賃借しても仕入れ税額控除の対象になります。一定の基準で賃借料を支払っていることを明確にするために社内規定等を作る必要があります。
会費、組合費は内容で判断されます
青色申告会費のような通常会費は仕入税額控除の対象になりませんが、スポーツクラブへ入会し、年会費を支払っている場合には、その実態は施設の利用料なので、仕入税額控除できます。
建設仮勘定は仕入税額控除できない
建設仮勘定とは、建物を建設中で完成していない場合にこの科目を使います。建物が完成して初めて仕入税額控除になりますので、建設仮勘定の計上時には仕入税額控除はできません。
建設業の外注費に注意
外注費の中には、下請けに外注する場合と、人工の応援の場合があります。人工の応援であれば、支払いの都度仕入税額控除できますが、請負契約により外注に出す場合には、下請け工事が完了した時点で仕入税額控除できることになります。
土地を売った場合の注意点
土地を売った場合には、課税売上割合が95%未満となり、仕入にかかる消費税のうち仕入税額控除ができなくなる場合が多いと思います。課税売上割合とは、売上高の内、課税売上の占める割合のことを言います。非課税売上の中には、土地の購入、居住用の家賃、プリペードカードの販売等がありますが、これら非課税売上がある場合には、消費税の納付金額が増えることが予想されますので、ご注意ください。
駐車場の賃借料
駐車場の賃借料は、土地に関する取引ですが、課税仕入です。ところが、駐車場付きの賃貸アパートとなると、駐車場もアパートも非課税となります。
売上割引や仕入割引は非課税?
売上割引や仕入割引は、会計上は利息としての性格を持つとされます。利息と考えますと、非課税という判断になります。消費税の世界では、返品や値引きと同様に売上代金や仕入代金のマイナス項目として扱われます。ですから、消費税の対象となる取引と考えてください。
固定資産の売却
固定資産を売却した場合、会計の処理では、売った値段と買ったときの値段の差額を固定資産の売却損益としますが、消費税では、売った値段の総額に対して消費税を計算しますので、混同しがちですがご注意ください。
印紙でも仕入税額控除できる?
印紙は仕入税額控除できないことになっておりますが、これは郵便局や印紙売りさばき所等の公的な場所で購入した場合です。金券ショップ等で購入する場合には消費税が課税されます。
休眠会社の「課税事業者“選択”届出書」の提出期限
「課税事業者選択届出書」は事業年度の開始前までに出すことになっております。しかし、休眠会社が最開業した場合、多額の設備投資を行い、消費税の還付を受けたいとした場合、新規開業に該当するものとして取り扱うことになっておりますので、再開業した“年度中”に「課税事業者選択届出書」を提出することができます。
簡易課税制度は2年間適用義務
簡易課税制度は、一度選択すると、2年間続けなければなりません。簡易課税を適用した2年目に設備投資等によって多額の還付等がある場合には、ご注意ください。
居住用家屋(アパート)でも還付あり?
居住用アパートの家賃は非課税となっております。ですから、課税売上割合が0%となって、通常は全額仕入れ税額控除ができません。しかし、個人事業者の場合で、アパートの完成が年末で、翌年から入居が始まる場合には、アパートに掛かった消費税は全額還付できることになります。
受託販売形式は有利な場合がある。
委託販売契約を結んだ場合には、受託者は、委託者から受ける委託販売手数料だけを売上として計上することができます。消費税の課税事業者になるかならないかの瀬戸際の方は、ご確認下さい。その際には契約書も必ず作成しましょう。
ただし、自動車整備業者が顧客から注文を受けて車を販売した場合、マージンだけを売上にすることはできません。卸売業者から販売を委託されたわけではないからです。安易な相殺処理は危険です。
材料の無償支給は有利な場合がある。
製造業等で材料の無償支給を受けている場合、加工賃のみを売上に計上すればいいことになります。有償支給ですと、材料費分だけ売上高も増えてしまいますので、消費税の課税事業者になるかならないかの瀬戸際の方は、是非ご一考下さい。
固定資産税の精算金は消費税の課税対象です。
不動産を所有している場合、その年の1月1日現在の所有者に1年分の固定資産税がかかってくることはご存知だと思います。不動産を売却した場合、未経過分の固定資産税を売主と買主間で清算する場合があります(必ずしも清算しなくても問題ありませんが)。この場合には、売買代金の一部分として考えますので、固定資産税の精算金は消費税の課税対象となります。
事業用と家事用に共用する資産を購入した場合
所得税にて事業専用割合を50%と見積もって減価償却費を計算している場合、消費税の場合にも50%が仕入税額控除の対象になります。(消費税では、購入年度以降に事業専用割合が変動してもなんら変更は生じません。)
生計を一にする親族に支払った給与、家賃、借入金の利子
所得税法上では、生計を一にする親族に支払った給与、家賃、借入金の利子は必要経費にできません。生計を一にする親族が負担した事業用資産を課税仕入とすることもできません。
被相続人が提出した届出書は引き継がれない。
個人事業者の場合、被相続人が提出した届出書は引き継がれませんので、相続によって息子さんが事業を引き継がれる際にも、税務署へ息子さんの名前で届出をもう一度提出し直す必要があります。
“税込み”表示について
平成16年4月1日より値段の表示方法を総額表示、すなわち、税込の値段で表示しなければならないことになりました。
EUでは、消費者保護の見地から、総額表示が一般的ですので、わが国でもそれにならって変更されたわけです。
罰則規定は設けられておりませんが、だからといってこれまで通りの表示では、お客様は税込みの金額と認識するようになっていきますので、トラブルの原因になることは間違いありません。
ですから、しばらくの間値段の表示には十分配慮していただければと思います。
価格の表示例
①10,290円
(本体価格9,800円、消費税等490円)
②10,290円(うち消費税等490円)
③10,290円(本体価格9,800円)
④10,290円(税込)
⑤10,290円
⑥9,800円(税込10,290円)
「9,800円+税」、「98,00円(税抜)」の表示方法は、総額表示とは認められません。
単価の表示例
※ 肉の量り売り
100g 300円 → 100g 315円
※ ガソリン、灯油
1㍑ 100円 → 1㍑ 105円
※ 不動産仲介手数料
売買価格の3% → 売買価格の3.15%
時価での取引の場合
では、時価で売っている場合にはどうなるのでしょうか。お寿司屋さんのように時価と表示している場合には、総額表示はしなくてもいいようです。
値引きの場合
「○割引き」・「○円引き」と表示する場合には総額表示する必要はありません。値引き後の価格表示は総額表示になります。
「希望小売価格」の扱い
希望小売価格の場合には、消費者への価格表示ではないですので、総額表示の対象にはなりません。
総額表示のためのコスト増
価格ラベルの張り替え、新メニューの作成、レジスターの変更など、様々なコストの増加が予想されます。これらの費用は修繕費等で処理することになります。
値下げ、便乗値上げの問題
従来のメニューに8,000円と表示してあったものを、8,400円と総額表示した場合、お客様から値上げと見られる心配から、従来通りの価格8,000円の表示とした場合、これが税込み金額になりますので、実質的には値下げしたことになります。
5年間値段を据え置いていたので、総額表示を機会に8,500円とした場合には便乗値上げと指摘されかねないといった問題点もあります。
消費税の端数の問題点
150円の商品を2個買ったとします。
これまでの計算では、
150円×2個×1.05=315円
改正後は、
150×1.05=157.5 → 157円(値札)
157円×2個=314円
これまでの計算では315円のものが、改正後は314円になってしまいます。
これまで見てきましたとおり、消費税法の改正による総額表示の規定は、様々な点において注意が必要となります。
総額表示は、消費者保護ということから創設されたわけですから、その目的は間違っていないと思います。しかし、しばらくの間事業者や消費者の間でとまどいや、トラブルが生じることが予想されます。
いろいろな観点からシュミレーションをして、業務に支障をきたさないよう十分配慮していただきたいと思います。
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消費税法では、「帳簿の付け方」が非常に厳格に規定されております。
課税事業者であっても、「簡易課税」を選択した場合の注意点は、売上高が課税なのか、非課税なのか、また、最初の段階で事業区分を適正に選んであれば帳簿の付け方についてはそれほど細かな規定はありません。
しかし、本則課税という消費税の本来的な計算方法を選択している場合には、仕入や経費の支払のつど、取引に関してしっかりした帳簿の作成が必要になります。特に手書きの帳簿を作成している場合には、本則課税の記帳要件を充たすには、大変手間と労力がかかることが予想されます。
要件を満たした記帳ができていない場合にどういう問題が生じるのでしょうか。
本則課税の方が税額が少なくなる場合であっても簡易課税を選択せざるをえません。また、大きな設備投資をして消費税が還付になる場合に、本則課税が適用できないことは経営的にも大きな影響を受けます。
課税業者の記帳要件
帳簿に記載しなければならない項目は下記の通りです。
① 課税仕入れの相手方の氏名又は名称
② 課税仕入れを行った年月日
③ 課税仕入れに係る資産又は役務の内容
④ 課税仕入れに係る支払対価の額
といった4つの項目が記帳されなければなりません。
特に③に関しては、一般的な総称の商品を複数種類購入した場合、例えば、文房具と飲料等を購入した場合でも、それが経費に属する課税仕入れの場合には「文房具ほか」等と記載することができるとされています。
もしその商品が課税資産と非課税資産とである場合、例えば、贈答用の酒類とビール券とを一括購入した場合には、課税資産であるビールと非課税資産であるビール券とに区分して記載する必要があります。
また、④の金額に関しては、原則として、「仕入れの都度」記載することになりますが、例えば、同一の商品等を一定期間内に複数回課税仕入れしている場合には、その請求書等に記載された一定期間分の合計額を記載することができるとされています。
会計ソフトでは、仕入業者の名前や取引内容を予め登録しておいて、リストから選択して入力できますから、記帳要件を充たす帳簿の作成も、手書きの場合に比べたら格段に容易に行うことができます。今回の消費税法改正を機会に、会計ソフト(FX2)の導入を是非検討されてはいかがでしょうか。
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